早いものでもう今年も残すところ1月のみ。
最近インターステラーのことを書いてみたけど、別にそれまで映画を観てなかったわけでもない。

『ゴジラ』のときも過小評価されててかわいそうだし書こうかなと思ったのだけど、なんとなくやめちゃった。
意外と観られていないところは多いし、日本の宣伝のせいで変な先入観で観ている人おおいよね。
かわいそうなゴジラちゃんや。

そんなこんなで11月終り時点で見た映画は171本。去年に比べると30本くらい少ない気がするけど、なんか今年はあまり印象に残った作品がなかった気がする。いや、単なる老化現象のせいはある。もうアラサーというか30に片脚つっこんでるようなもんんだしね。

また今年も映画リストを適当にまとめるつもりだが、このあまりに更新しない日記を誰かみているのだろうか……。

無題

2014年11月25日 映画
彼は『フォロウィング』から『インセプション』にいたるまで、常にジャンル内の映画を革新的に描き、重層的で複雑な構造の物語を好んで撮ってきた。

しかし、彼が新作で挑んだのは、映像詩であり、限りなくシンプルでドラマチックな作品だった。
SF的なギミックはでてくるものの、予告をみた時点でこのエンディング以外ありえないのは多くの人がわかっていただろう。
しかし、そんなありきたりな物語でも、そして"sci-fi"の"fi"の部分では、ともすればトンデモな(私にとってはということだが)展開を用意しながらも、それをねじ伏せる映像の積み重ねをみせてくれた。また、撮影に関してもロケ撮影に拘り、宇宙船を建造させ、実際に浮かせ砂塵を起こして撮影を敢行。100キロ近い、"Articulated Machine"も作り上げた。それは、"神はディティールに宿る"と言うアルチザン同様の拘りであろう。
そんな言葉少なに語る名匠の作品には、過去にモンタージュ理論を確立させた巨匠が名画を前に放った言葉が似合うのではないか。
"理性が私を照らすのは、感動の後である。理性は感情を壊すのではなく、それを照らしてくれるのだ"
次回作では是非3Dも撮って欲しい。


■8/1・2
『サンシャイン/歌声が響く街』
『友よ、さらばと言おう』
※フレンチノワール好きはみるべきだよ。

■8/8
『トランスフォーマー/ロストエイジ』
中国の興行収入が米を超えるのは初だろうな。

■8/15・16
なし

■8/22・23
『プロミスト・ランド』
『イントゥ・ザ・ストーム』
※『ツイスター』現代版。『ツイスター』って元は『ゴジラ』用の脚本で、ゴジラを竜巻に書き直して撮った映画なんだぜ。ウソだろって?さあなあ。
『グレート・ビューティー/追憶のローマ』

■8/29・30
『LUCY/ルーシー』
※見えてる地雷を踏みに行こう。
『わたしは生きていける』
※『ラスト・キング・オブ・スコットランド』の監督の新作。

■9/6
『フルスロットル』
※ポール・ウォーカー。RIP。共演者の人は"パルクール"の創立メンバー的な人だよ。
『イヴ・サンローラン』
※エディは出てこないよ。勿論。関係ないけど、ステファノ・ピラーティのコレクションは伝統の重みからか、重厚な印象のスタイリングでかっこよかった。
『フライト・ゲーム』
※もういい加減、リーアムじっちゃんを休ませて差し上げろ。もう十分戦ったろ。

■9/13
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』
※ウガ、チャカ、ウガ、チャカ♪ そのうち『アベンジャーズ』と合流するよ。
『フランシス・ハ』
※NYには1ヶ月もいなかったからニューヨーカーのリアルな息遣いとやらは知らんが、そういうのがうまく描写されてるらしいよ。

■9/20
『猿の惑星:新世紀(ライジング)』
※Freedom is never free. Humanity’s last stand. Hail Caesar!
『NY心霊捜査官』
※半信半疑の主人公と我々の視点が重なる構成がいいよ。

■9/27
『ファーナス/訣別の朝』
※パールジャムじゃない方の予告で、ニール・ヤングの『ハート・オブ・ゴールド』を歌ってるのは、Phantogram の Sarah Barthelだ。

■10月(この辺からは公開日流動的なのがあるはず)
『ザ・レイド GOKUDO』
※今回は日本のYAKUZAも出てくるよ。
『A MOST WANTED MAN』
※ジャン・カレ原作なら見ないとな。
『Zero THeorem』
※テリー・ギリアムの新作にして、ディトピア三部作の最終章。
『FRANK -フランク-』
※マグニートはちょっと顔が見えたけど、こいつはマジでずっと顔みえないぞ。
『ニンフォマニアック Vol.1』
※今年一番の問題作だろうね。でもラースの作品なら観るしかない。日本公開は勿論ソフトポルノ版。それにくわえて死ぬほど修正を食らってるだろうな。
『イコライザー』
※昔のドラマのリメイク。クロエちゃんが娼婦に。デンゼルが殺し屋に。なんとなく色んな映画がちらつくけど、なかなかの完成度。試写だけで続編決定するほどの。
『ドラキュラZERO』
※ダッセー名前だが、中身はよい。原題は、『Dracula untold』。

■11月
『ザ・ダブル』
※去年下町コメディ映画祭でやってた気がする。
『美女と野獣』
※ヴァンサン・カッセルってイケメンなの?
『ニンフォマニアック Vol.2』
※ひょえー。
『インターステラー』
※ノーラン大先生。そんな先生は、フィンチャー同様にテレンス・マリック教徒みたいよ。本作の撮影をみると、なんとなくそんな気はしてたよ。

■年内?
『ミュータント・タートルズ』
※タートルズ!!

こんな感じかね。10月以降は出し惜しみしてて、これから決まる作品も多数だろうな。

久しぶりに更新

2014年6月12日 映画


特に何があったわけでもないのでさぼっていた。
最近観た映画。今年は現在のとこ120本ほど鑑賞。

■『MAMA』
ギレルモ・デル・トロは監督してない。
類似作品が多すぎるというか、日本のホラー元にしたんでないのって感じの作品。
ホラーにも関わらず、圧倒的に恐怖描写が貧弱で危機感もなければ焦燥感もない。
ドラマ部分は綺麗にまとまっているかもしれないが、何かしら予想外の展開というものを魅せて欲しかったな。

■『パニック・トレイン』
何故かわからない、ロシアの地下鉄パニック映画『メトロ42』と間違えたw
でも、そこそこ面白かった。
最後まで犯人の目的や正体をひた隠しにしたのがよかったかな。
やはりどんなに捻ろうとも、見えないものへの好奇心と恐怖に勝るものはない。

■『マラヴィータ』
久しぶりにリュック・ベッソン監督作を観た。
ちょっと尺が長かったなという印象。コメディ方面へのフレ幅がもっと大きくてもよかったはず。一年のうちにチラホラ見かけるマフィアコメディものとの差別化がなっていない。

■『エンダーのゲーム』⇒オススメ
原作がすきな者として色々思うところはあったのだが、長大な物語、そして重層の物語をうまくこの尺にまとめ且つ必要最低限作品のDNAを継いだ作品として完成させたのは見事。せっかく3Dの時代なのだから、もっとトレーニングシーンの見せ方を工夫して欲しかったなとは思う。

■『スノーピアサー』
"ノーリーズン"という仕掛けは、もっと勢いがあり且つ畳み掛ける展開がないと成り立たないのだと思う。
あと、その仕掛けが多すぎても観客は困るだけだ。アクションシーンの演出など光るところがあっただけに惜しい作品。

■『フィルス』⇒オススメ
予告ではマカヴォイ君がキメキメで粗野な行動をしまくり、とんでもない事態を巻き起こす的な作品だったはずだ。しかし、ふたを開けてみれば、自暴自棄になり現実逃避した主人公が自縄自縛の事態に陥る様をケレン味たっぷりに描いたどこか物悲しい物語であった。
彼には、ガンダムUCのこのセリフがぴったり
。「やりました・・・。やったんですよ!必死に!その結果がこれなんですよ!」

■『恋の渦』⇒オススメ
くっだらない会話劇ではある。しかし、この登場人物のどこかに自分の断片がある。
特に彼らのシチュエーションや人物像が、自分のまわりの人間や環境に近いわけでもないのに、あるあるwwと思わせてしまう不思議なリアルさが息づいた稀有な作品。

『サプライズ』

2014年5月8日 映画



微妙にネタバレあるよ。

恐怖を感じて活性化する神経と快感のそれとは同じものであるときいたことがある。この映画はそのことがよくわかる作品となっている。

家族のリユニオンを血の惨劇に変える突然の襲撃を観て、我々は様々な疑問と驚きを覚える。

何故彼らが狙われたなのか? 犯人の動機は?犯人は誰なのか? 

通常であれば、これらを引きずりながら展開していくはずだが、この作品はあっさりと中盤で全てをさらけ出してしまう。そして、我々がホラー映画を観る上で、常に感じている疑問にも答えるのだ。何故被害者は常に反撃しないのか? 勿論、彼らが微力ながら反撃することはあるにせよ、圧倒するほどの反撃を見せることはない。しかし、実際には犯人達を上回る技能や知恵を持った被害者もいるはず。なぜ返り討ちにあうことはないのか。そんなホラーの暗黙の了解を打ち破っていくのが、本作の後半である。

後半で、狩られる者は、一転し復讐に燃える鬼となる。しかし、前半での惨劇を見ている我々はこの復讐者に対して、共感を覚える。あるいは、もっとやれ、もっとやれと応援すらしているかもしれない。
前半の緊張感と不条理の抑圧は、復讐者の無双状態がもたらすある種のカタルシスにより、払拭され我々により一層の爽快さを感じさせることとなる。
前述した、暗黙の了解を打ち破ることに加え、この見事な立場の変換がこの作品の魅力といえよう。
引き金を引かれた途端に再現なく、内に秘めた狂気を発露させていく。
日常に潜む異常は、加害者の側にも、被害者の側にも実は等しく存在していたのだ。

しかし、その異常さに気付いたときには、時すでに遅し。
劇中での復讐者の結末に等しく、快感の後ろにひた隠しとなっていたうしろめたい欲望に塗りつぶされて、その身を滅ぼすのだ。かつての加害者たちと同じように。

※印象的なホラーには、印象的な殺人鬼が登場する。本作の動物仮面もなかなかに不気味で、そういうビジュアル面にも監督の細やかなセンスを感じる。

※撮影面でも、ステディカムを使用しない手持ちのブレブレ感を多用し不安を煽るショットをはさむのがうまい。印象的なシーンに、スローモーションを使ってくるのもホラーの演出ではあまりみないもので特徴的だ。
今月はヒーロー映画じゃなくてスパイ映画となった『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』に老け顔ヒロインどうにかしようぜ映画『アメイジング・スパイダーマン2』観ときゃいい。

■5/3
『プリズナーズ』

■5/10
『肉』
『ブルージャスミン』
『ライヴ』

■5/17
『機動戦士ガンダムUC episode 7「虹の彼方に」』
『闇金ウシジマくん Part2』

■5/24
なし

■5/31
『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』
『X-MEN:フューチャー&パスト』
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第2章』

■6/7
なし

■6/14
なし

■6/21
『私の、息子』
『サード・パーソン』
『300〈スリーハンドレッド〉~帝国の進撃~』
主役はアナスタシア様だ。忘れることなきよう。

■6/28
『her/世界でひとつの彼女』
『パークランド―ケネディ暗殺、真実の4日間』
『トランセンデンス』
『オールド・ボーイ』リメイク版

■7/4
『オール・ユー・ニード・イズ・キル』

■7/11
『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第3章』

■7/19
『思い出のマーニー』
『複製された男』

■7/26
『GODZILLA ゴジラ』

これ以降は公開日決定してないの多すぎるからまた今度。


今年の映画のトレンド。それも割りとマイナー系映画のトレンドとして“ダブル(分身)”や“”がテーマがあるように思う。何が発端なのかはわからない、けれども様々な監督たちや脚本家たちが題材としている。
偶然ではないのだろう。何か自分と向き合う年なのだろうか。わからないが、この手の作品は興味深いものが多いので、いくつか紹介。勿論ここにあげた以外にもあるよ。

『i.origins』or(eye, origins)
以前紹介した『アナザー・プラネット』の監督の新作。これはダブルとはまた違うかもしれないが、作品の根底に流れる意図は同じであろう。
日本ではまたしてもDVDスルーとなりそうだが、自分用メモとしても記録しておく。

http://trailers.apple.com/trailers/fox_searchlight/iorigins/

『複製された男』
ノーベル文学賞作品の映像化。監督は『灼熱の魂』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。まさかこの監督がハリウッドに流れてきて、しかもメインストリームに入ってくるとはおもわなんだ。監督お得意の重厚な演出で濃密な100分間を作り出した。賛否両論の作品かなと思うけど
、見ごたえは絶対にあるので見るべき。様々なモチーフイメージも興味深い。蜘蛛のイメージは原作にないオリジナルだ。これは7月に公開決定。

http://trailers.apple.com/trailers/independent/enemy/

『The Double』
ジェシー・アイゼンバーグと『サブマリン』の監督の新作。『サブマリン』はなかなかかわいらしい青春ラブストーリーなので意外な作風にびっくり。こちらは上の作品より幾分かコミカルでシニカルなタッチ。

http://trailers.apple.com/trailers/magnolia/thedouble/

『アンダー・ザ・スキン』
スカーレット・ヨハンソン主演の最新SF。恐ろしくアーティスティックな作品でほとんどセリフがない。サイレント映画並みに排されており、ほとんど観客は映像だけで物語を観る事になる稀有な作品。これもダブルとは異なるかもしれないけれど、違う外殻を持った自分と向き合うってだけで、精神性はダブルだと思う。非常に奇妙で面白い作品だけでも、これもDVDスルーでしょう。
http://www.imdb.com/video/imdb/vi2666834713/


自分と向き合うことは難しく、そして脅威だ。しかし、それと同時に何物にも変えがたくスリリング。映画の主人公と同じく、何度も存在を疑い、揺さぶられてみるのもいいかもしれない。

今週の公開作

2014年4月10日 映画


■本命:『アクト・オブ・キリング』

映画にファンタジーというか非現実をもとめる性分の私は、ドキュメントは好きではない。現実をありのままどころか、製作者の思想をひたすら120分も押し付けられるなんてそんなの拷問だと思っている。
しかし、ここまで現実離れしていればもうドキュメントなどとも言ってられないであろう。そういう作品である。

■対抗馬:『ネルソン・マンデラ 釈放の真実』

これまたドキュメントだが、なかなかにぶっ飛んでいる人物のお話で、これまたとてもドキュメントに見えないよ。そのうちこの人物をモデルとした作品も作られてしまいそうである。それほどエピソードに満ち溢れた人物のお話。マンデラさんのことを描く映画ではないので、勘違いしないよう気をつけよう。マンデラさんの映画は今年あと2本あるけどね、確か。

■ダークホース:『ワールズ・エンド』
『パラノーマル・アクティヴィティ』の新作?そんなのしらねーな。エドガー・ライトの新作があるんだったら、迷わずこっち観るんだよ。
『ホットファズ』も『ショーン・オブ・ザ・デッド』も面白かったろ。これみたら、あとはオクトーバーフェスでもいっときゃいいよ。でも、あそこ入場無料を高らかにうたっているだけあって、ビールくそ高いから気をつけろ。
1杯1000~ってどこのバーなんだよ。しかもかわったのは大体1500~という有様。

あ、でも今回のパラノーマルは『3』と同じくらいにはよかったかな。出来はどっちもどっちだし、なんなら後発の似た映画の方が完成度はうえなんじゃないかと思うけどね。深夜に一人で部屋の遮光カーテン全部しめて、真っ暗な中でヘッドフォンで観ると雰囲気でていいよ。


ある、新作映画記事を読んでいて、久しぶりに“ビジュラマ”なる言葉を思い出した。

その映画とは、ドン・コスカレリ監督のライフワーク『ファンタズム』の新作予告編公開の記事だった!!

びっくり、『ファンタズム』シリーズってまだ製作してたの?って。調べてみたら16年ぶりの新作だったww
でも、悲しいことにコスカレリ監督は今回製作サイドらしい。監督は新人さんとのこと。だから外伝として、考えるべきなのかな。

まあその辺の積もる思いはおいておいて、日本で『ファンタズム』を公開したときってのは“ビジュラマ”という未知の音響システムが導入されるって触れ込みがあったらしい。いや、らしいというかチラシ裏にはそう書いてあるのだけど。でも、なぜか妙なボカシ説明なんだよね。というのもこれが実際に投入されたのは試写会だけなんだ。

新たな音響システムとかきくと、当時のことだから擬似的な5.1chなのかな?とか、はたまたサブウーファ増やしてホラー特有の重低音を強めにするのかな?とか考えると思う。

ところが、あけてビックリ。なんとこれは映画鑑賞中に、どこからともなく人がマントのようなものを被り、スクリーン前を走りぬけるとか、そういう演出だったのだww冗談に聴こえるが、当時は大真面目に考えていたらしい。
しかし、安全上の問題とかなんとかで試写だけで行われ、一般的には公開されなかった幻の形式となったとのこと。私もこれを何かの本ないし、雑誌でみただけなので真偽の程は定かではない。

ちなみに、そんな演出はなくても『ファンタズム』は面白いよ。完成度が高いかはもはや不明。なぜなら、これは『ねじ式』みたいなもんだからだ。受け入れるか受け入れられないか。それだけ。

私は誰がなんといおうと新作も見たいと思っている。おそらく日本公開はないので、またUKアマゾンとかのお世話になるのだろうけど。


参照:http://www.gundam-unicorn.net/news/index.php

そんなにガンダムシリーズに思い入れがある人間ではないのだけど、UCは劇場サイズに
映える作品だから劇場で観たいなあ。6まで観てるけど、いくつかしか劇場で観てないし。
あと、間隔あき過ぎてて話を忘れるからこういう復習上映いいね。おじちゃんにやさしい仕様。

ガンダムといえば、ヌルEXVSプレーヤー(中佐~大佐)なのだがMBはどうなのだろうか?
一応4.5回CPU戦だけやったのだけど、機体多すぎて未だに乗る機体すら決まっていない。
とりあえずシナンジュの寸分の隙もない武装に違和感w。換装の手間がなくなったくらいしか、大きなチェンジはないはず?なのだが、ああも変わるもんなんだね。でもお手軽厨機体ってなわけでもないから、下方修正もそんなに大きくされなさそう。最近はゲーセンで集まることもそうないから、対人はほぼやらないと思うけど、CPU戦だけでもやりたいなあ。

とりあえず他人の対人見てると、Fドラで格闘ブンブンしてればいいんだろっていう感がすごくて世紀末げーだなって思った。
ソダーバーグ監督が兼ねてより撮りたかったらしいスパイ映画。

昨今のスパイ映画とはちょっと赴き異なる作品で、なかなかに興味深い。それは大きくふたつの要素によるものだ。

一つ目は、説明を排した物語構成。
冒頭、ダイナーで突如始まる戦闘シーンに観客は面食らう。当然あるべき、登場人物たちの情報が何もなく、いきなり殺気むき出しで戦いを始めるのだ。そして、多くの何故が発生し、それらを抱えた我々は、それを解決すべくマロリーの語る物語の世界に否が応でも引き込まれていく。
さらに、我々は登場人物の背景や関係性の説明を極端に排した構成のせいで、マロリーと同じように、誰がどのような思惑を持っているか、どこで繋がっているかを考えなくてはならない。点と点を結び線にする作業を強いられ、半ば強制的に物語に入り込むことになる。
ハリウッド資本作品は説明的であるがゆえに、ストーリーに中だるみを感じる。この方法はそれをうまく解消する方法だが、反面度合いを誤れば単にフワフワしたあいまいな作品になりかねない。しかし、そこは見事に、人物の生活の一部から事件や事象の全体像を見る、というソダーバーグ節で見事にまとめている。

そして、二つ目は、アクション演出。
本作には、冒頭のアクションも含めて、特に大立ち回りが存在しない。すさまじく地味な戦いのみである。
しかし、コンタクトが多く、飛び道具や一撃必殺もないその地味で泥くさい戦いは妙な説得力がある。それは明らかに、007のようにスーツのボタンすら外さず多数の敵や組織を壊滅に追い込む華麗なアクションにない魅力がある。主演のジーナが、格闘選手であるからこそ実現できたであろうそのアクションの数々は、操演によって表現される格闘とはまるで異なるのだ。

この二つの要素の見事な絡み合いがこのスパイ映画を007作品などとは違った体験をさせて
くれる。ケレン味たっぷりなスパイなんか、スパイじゃねーよという人は是非とも見ていただきたい1作。

最近観た映画

2014年3月20日 映画
『サンクタム』6/10
何故今更と思うやもしれないが、なんとなく観ていなかっただけである。殊更理由はない。

公開時のウリは、水中や暗部での3D表現だった気がするのだが、家で観たのだから全く
そのような良さはわからなかった。残念なり。
しかし、このときよりも大分3Dが自然になった今でも暗い部分の視差は目によろしくないように感じるのだが、果たしてうまくいっていたのか。もはや今は確かめる術もない。
そういう技術的なところをおいといて、内容はというと、すごく平凡であるが、王道ともいえる作品かなと思う。真新しさこそないけど、妙などんでん返しつけてみたり、やたら人死なせまくったり、っていう不自然描写はない、ない……。最後のは、あれだよ、あれ……。
でも、そこを差し引いてもそこまで悪かったとも思えんな。なんかあまり評判よろしくないようだけれども。こういう作品にはやはり、少なからず斬新さを求めるものなのかね。斬新さは嫌いでないけど、場合によっては時代を経るごとに劣化するものだから、なくてもよいとは思うのだけれども。

『ネットストーカー』3/10
何故こういう見えている地雷を踏みたがるのか。わからない。アルバトロス作品ならまだあたりもあり得るものの、こんなもはやタイトルからしてやる気もない作品を今でも借りてしまう。

ミーシャ・バートン好きな人なら観てもいいかもよ。まだ、かろうじでかわいいミーシャだから。
もうね、今や彼女は『ヴァージン・スーサイズ』やファッショニスタだったころの輝きを失い、よくわからないメンヘラ女子になってしまった。悲しいものだ。

『メトロマニラ』8/10
これについてはまた個別に感想を書きたいな。
ストーリーに好き嫌いある作品だし、恐らく日本ではこのストーリーは共感を呼ばない気がするのだけども、映画としての見所や演出なんかはよいと思う。時代性を捉えている作品でもあるし、ハリウッドでのリメイクも決まったとか決まってないとか聞くので、やはり評価されるべき作品かなとも思うのだ。

『エージェント・マロリー』7.5/10
ソダーバーグがスパイ映画ねえ、とか思っていたらいつのまにかスルーしてた。
これはちょっと劇場でみなかったのを後悔した。
特に見せ場的なアクションやパノラマ、映像美がある作品ではないけども、演出は一貫しているし、この世界に浸りたかった。
ヒッチコック映画とボーン・アイデンティティが出会ったような作品といえばわかりやすそうだ。
これもあとで詳しく書こうかな。

残念ながらガジェットは面白いが、なんら物語は興味深くなれなかった
『エリジウム』。
しかし、ニール・プロムカンプが『第9地区』で見せたセンスの一端はホンモノであったと思う。

そして、毎年とはいわず定期的に彼のような才能溢れる監督はひょっこり現れる。ライアン・ジョンソンしかり、リチャード・ケリーしかり、シェーン・カルースしかりである。恐らく本作の監督も彼に追随するものだ。

『The Signal』
キャッチは“R U Agitated?”
予告:http://trailers.apple.com/trailers/focus_features/thesignal/

古典的なSFネタ“エイリアン・アブダクション”を下敷きに、それにより変容した人間が巻き起こす騒動を描く模様。予告では、映像がフューチャーされているためストーリーラインはぼんやり。

でも、この映像はすごく特徴的でよいね。
ロジャー・ディーキンスのようなシンメトリーな構図や光と影のコントラストの使い方がうまいし。時折ある自然光による巧みな日常描写なんかは、被写体深度が浅く、被写体の動きをなめるかのように映し出していてエマニュエル・ルベツキを思わせる。

大いに気になる作品なのだが、日本公開についての情報はないからDVDスルーかもしれない。

※本作の監督ウィリアム・ユーバンクの処女作品は『LOVE』。改悪邦題『地球、最後の男』というタイトルでネタバレもされた不遇な作品。挿入されるイメージが何を意味するかというところやラストの不明瞭さからあまり受けは良くなかったみたいだけど、割と好みなんだよなあ。ただ、ダルイのは間違いない。これは、漂流する主人公の孤独を表現する最良の演出だったのか、はたまたただ演出力・構成力にかける監督の瑕疵であったのかは本作を見れば判明するだろう。裏切らんでほしいw
もし、アメリカで生物兵器が使われたら……っていうありがちなお話。
しかも、それが自国の作戦で作成したものが漏れていたとなると・・・。

隠蔽工作、諜報機関、諸外国の介入と様々な人間の思惑が錯綜するサスペンス。
尺はたっぷり3時間だ。

まかれるウィルスはハデスウィルスというエボラの変種で、全身の毛という毛から血が噴出し、致死率90%超えの驚異のもの。空気感染もするしで、恐ろしすぎるのだが、なんだろうかあまり緊張感が感じられない。

はじめの感染描写が薄く、とても何千人規模で感染が広がっているように思えないのが致命的だった。
そして厳戒態勢にも関わらず、普通に生活している人々。
極めつけはあっさりと黒幕がわれてしまうあたり。何もかもがスムーズで綺麗すぎる。

もっと人というのはホラー映画のヒロインよろしく非合理的かつ非理性的な行動をするものだ。渦中にいる人間なら尚更だ。

おかげで事態が把握しやすいが、そうなると先が気になるということもなくヒント付のパズルを組み立てているようなもので半分、作業となってしまう。時間が90分とかなら演出でどうにかなるが、近作は180分。
これだけの尺があるならもっと、色々やれることがあったはず。

時折あるアクションシーンも間延びしてしまい、とてもカンフル剤にはな
っていない。総じて残念な出来としかいいようがない。はじめの感染エピソードだけでももっと大げさに書けば、緊張感が違っただろうにと思う。


■『スパイ・バウンド』7.5/10
昨日、特にいうほどの良作がなかったといったが、本作は良かったかも。
ただ本作は私が見るのを大分見逃していた旧作も旧作なのである。もう10年くらい昔の作品なはず。

残念ながら離婚してしまった、ヴァンサン・カッセル&モニカ・ベルッチ夫妻の共演作である。劇中で演じるはスパイの仮面夫婦。共演作が多すぎると思うのだが、よほど仲良し夫婦だったのだろう。
さて、本編なのだが久しぶりにスパイ映画を観た、という感じに浸れる作品である。それは決して、本作が史実と当事者の証言を元に作られた作品だからというだけではないのだろう。

冒頭の只ならぬ緊迫感をはらんだ追走劇は、セリフなしで我々を劇中に引きずり込む。そして、静かに幕を開ける本編も、説明的なナレーションなどさしはさむ暇もなく、淡々と展開していく。セリフを排除されたことで物語をおうために集中を強いられるが、ジャン=ピエール・ソヴェールの撮影は中々に見事で飽きさせない。派手なアクションや爽快な展開を期待してみた人にはやや退屈な話になるかもしれないのだが、そこはテイストの違いだ、仕方がない。エージェントの装備も実践的であり、素晴らしくソリッドな作風の1作である。硬派なスパイ映画を観たい方は是非。
残念なのは、ほとんどの映画でそうであるようにモニカ・ベルッチの艶やかなる魅力を見出せるシーンがほぼないことか笑

■『スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間』6.5/10
ゾンビ映画は、ある程度やりつくされたジャンルだが、それでも一年に1本くらいは新鮮さを感じる作品が出てくる。それだけ皆に愛されるジャンルなのだろう。昨今では『ウォーム・ボディーズ』というほのぼの作品があったが、私は本作を推させていただこう。

本作は、ゾンビに襲われる人々を描くでもなく、ゾンビ側の視点を描くのとも違う。そしてまた、ゾンビをキュアーするという方向性も持たない。主人公が時間経過と共にゾンビ化していき生活様式が変容していくのを観察する作品なのだ。1日目、肌の色が可笑しい。2日目、目が充血している。そんな感じである。

しかも、主人公が女性であり、彼氏ではなく、彼女がいるというのも新しい。ゾンビ化するし、彼女には振られそう?振られた?しもういっぱいいっぱいという主人公の心理状況は、ゾンビに襲われる恐怖なんかよりとてもリアルに感じる。
しかし、観察という以上、特に大きなドラマや事件がないので殊更大きな満足感や充足感がないのも確か。コンパクトにまとまっているので観て損はないのだが、もう一ひねりあれば文句なしの名作入りになったのではないかと思うとちょっと残念。でも監督の才能を感じさせられたし、主演の女優さんは美人でよかった。

『サイド・エフェクト』7/10

ソダーバーグはこれで引退とかなんとかのたまわっていたが、誰かと同じく、言いたいだけだった模様。ソダーバーグの作品を観たかった人にはマイナス点が目立つ作品な気がする。しかし、なんてことはないサスペンス映画としてみれば良作。

前半はソダーバーグっぽい、現代社会の問題点を切り取って観察する感じなのだが、どこからかそのテイストは薄れ、デ・パルマ映画かよってなサスペンス劇へと変貌していく。やや大味で、なんだかもう一ひねり欲しいなあと思ったのも確かなのだが、コンパクトにまとまっていたかなあとも思う。
彼の映画は、人にフォーカスをあてるものではないので当然なのだが、誰にも感情移入できぬつくりなのに、感情のもつれが事件の主軸に絡んでしまうのはいかがかなものか。あと、どうしても前半のテイスト、ベクトルの物語の方が観たかったなあと思ってしまう。

『スティーラーズ』
ウェイン・クラマー監督の前作『ワイルド・バレット』が非常に好みだった
のだが、どうやら一発やに終わった模様。『正義の行方~』?そんな作品知らない。

テイストとしては、前作に変わらず群像劇というか、たくさんの人物のごたごたが徐々に収斂していく様を描く。
これに関しては、お得意の構成だろうし悪くないのだが、あまりにテンポが悪い。同じ時系列のまま、しかもカットバックもろくにつかわずダラダラと描写するだけ。お間抜けキャラクターの創造もことごとく失敗しているとしか思えない。日本では劇場スルーに近い扱いだったのがうなずける出来だった。

『ビザンチウム』4/10

最近あんまりめぼしい作品ないなと思っていた、というか『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』と『クライング・ゲーム』以外に撮ってたっけ?ってくらい影薄い監督の新作。

『インタビュー~』以来の吸血鬼ものなのだが、如何せんこのテーマはもうちょっとやそっとのことじゃ喜ばれないんじゃ……って思っていたら、まあ案の定という感じでしたね。

吸血鬼というものはさ、もうちょっと神秘的に描かれないといかんと思う。人智を超えたものとしての存在感や、定命でないもの故の悲哀もそれがないと真実味がない。本作でいえば、よっぽど病弱少年君の方が神秘的なんだよなあ。
過去の描写は多いのに、作品の中の重要なギミックとして働いてなかった気もする。この過去描写はもっと固めて語ったほうが活きたんじゃないかな。
それかもっと登場人物の数を絞ってもよかった気がする。どの人物関係が主軸なのか、見えづらかったし、そのせいで物語が弱く感じた。

『マニアック』5.5/10

イライジャ・ウッドがシリアル・キラーに!!ってのは制作側からしてみれば、意外な人選だったのかもしれない。しかし、最近こういう見た目に反して系の変態がおおいせいか、逆に驚きがなさすぎるw顔立ちは良く見たら美形なんだと思うけど、あの独特な双眸はともすれば不気味でリトルグレイみたいだもの。だから、その点でのメタ演出はあまりうまくはいってなかったように思える。けど、『指輪物語~』の後に観たら、びっくらこくだろうね。
物語は、リメイクだからちょっと古臭いし、特にツイストがある作品ではない。
しかも、時が経つにつれ古いと感じるようになってしまう部類のネタなのは監督もよく知っていたのだろう。

徹底的に観客を主人公の側に引き込むように、ほとんどの場面でPOV視点となる。これは『ハロウィン』でカーペンターがやったのが有名な手法だけども、こうなるだけでなかなかどうして冗長な物語も斬新に見えるようになるもんだ。でも、そこくらいかなあとも思う。

ってことで、今年はあまりあたりに出会ってないぞ。ピンチ。


海外版の横行にも関わらず、ブラジル国内では劇場で2500万人もの人々が鑑賞したとされるジョゼ・パジーリャ監督による『エリート・スクワッド』。

そんなパジーリャ監督が往年のB級SF『ロボコップ』をリメイクした。

原作では、ロボコップとなったあとに自身の記憶を取り戻し、また自身をかような姿に変える原因を作り出した人物を思い出す。しかし、本作では、記憶は失われない。抑制されている描写はあるが。
しかし、ストーリーラインが変われど、原作の最重要な点である、医学的に死んでいても、自身の意思に関わらず半ば強制的に生前の記憶を保ちつつ生かされ、変わってしま
った自身と葛藤するという重要な点は継承されている。

一方、大きく変わった部分も勿論ある。原作はその激しすぎる人体破壊描写などでR指定だったが、本作はレーティングはPGすらついていない。なので、原作初見のとき衝撃を受けたあの破壊描写はない。恐らくここが一番賛否両論なのではないかと思う。

しかし、ここはバーホーベン監督の持ち味ともいうべき、独特な社会風刺の作風だ。これを再現してしまえば、出来不出来に関わらず否定に傾いてしまったはずだ。(原作でも光った、CMやニュースなど散見されるブラックユーモアを内包した演出は、サミュエルが見事体現し、原作へのリスペクトも見られる)

代わりに本作で光るのは、アクションシーンの演出の巧みさだ。ロボコップのセリフの少なさを、アクションで補い、その変容を映し出す。
ロボコップが感情を失う様子は、TVゲーム画面のようなアクションで示した。POVの視点。セリフの排斥。アクションシーンにこれみよがしなストップやスローモーションをかけず、淡々と正義を行う様は、正に機械と化してしまったマーフィの様子を見事に描出した。
そう、原作とは真逆にほとんど流血もなく、残酷描写なしに機械化したマーフィの内面を表現したところが面白い。

そして、人として再び息づいたマーフィの弱さを二足歩行ロボットとの戦いで表現している。
巧みなアクション演出でマーフィの心境の変化を表現して見せたパジーリャ監督の演出は見事であった。近年のアクションでこれほど必要に駆られた演出もなかったのではないか。それほど説明的といえるアクションであった。

しかし、悲しいかな。近年のアクション作品に比べてしまうと、そのハデさが足りないと感じてしまうのもまた確か。これは単純に視覚的情報が多いド派手なモノになれてしまったせいであろうが、やはりどこか物足りなかった。

原作よりも家族のドラマに重きを置いていたのも本作の特徴だが、ここは割合あっさりとしていた。下手に書き込むと、テンポをそぎ落としてしまうからであろう。最小限のやり取りであり、矢継ぎ早であるのでやや感情移入しにくいかもしれない。

上記のような不足もあったのはたしかなのだが、パジーリャ監督は見事に独自の路線でロボコップを創れていたように思う。

安心してみることの出来る古き善きアクションの良作というところか。かくいう私も旧作には思いいれがあるので、贔屓目にみてしまうのだが、黒いロボコップ含め、これはこれでよかったと思う。
必見とはいわないが、昨今のただごっちゃごっちゃしたアクションを続ける作品は食傷気味という人は是非みてほしい。


結構前のサスペンスなのだが、わりかし気にっている作品なので久しぶりに
鑑賞。

この映画は、IMDBなどで評価を観ていただくとわかるけど、批評家からはあまりウケもよくなかったし、事実映画の作り的にはあまり特徴も良さも感じない。
しかし、その物語とキャストの演技がよく、それだけで成立している稀有な作品だ。

『ライアー』と似ていて、事件の全容は客観的に明かされることなく、ベテランの警察署長と町の名士/弁護士との対話からそれを予想することとなる。

今つくればフラッシュバック満載の作品となって、スタイリッシュに仕上がるのだろうが、この時代にはそういう演出は少なく、本作もまた非常に単調で地味な演出でできている。しかしそれが幸いしてか、役者陣の真に迫る演技が堪能できるのだから完全に悪かったともいえまい。

さて、本題なのだが、この作品で調べると本当の犯人は誰か?という疑問について議論しているものを多くみかけるのだが、それは作品の本質ではないであろう。

結局論理的に考えれば、真犯人を特定しうる確定的な証拠は提示されないし、あまりに描写も少ない。極端にいえば、誰でもよかったのだろう。ただ、観客を物語りに釘付けにするうえで疑わしき人々としてみんなを描く必要があったわけで。そして、その実なにが中核にあるかというと、ハックマンとベルッチの夫婦愛なわけだ。さらにいえば、愛とは何かというものを突きつけてくるものだ。

お互いがお互いにきちんと向き合わなかったばかりに、互いの小さな疑念はいつしか雪だるまのように膨れあがってしまう。そして、愛と憎しみは表裏一体。深ければ深いほどに、その反動で憎しみも大きくなってしまう。しかし、完全に愛が潰えてしまったのであればふたりはあのようにはならなかった、いやなれなかったに違いない。
それがあのセリフのないラストシークエンスによく現れていて素晴らしい。
ラストのシークエンスは作品中でも異色のシーンで、会話劇なので作中ずっとベラベラみんなしゃべっているのとは対比的に、ハックマンとベルッチ共にセリフがなく、別々に何かを思っているシーンのあとに目線を交わし、離れたベンチに座る。言葉なくとも何かが伝わっている。

ラストの解釈に幅がある作品は、駄作になる可能性がl極めて高いと思っている。
しかし、本作はそのぼやかし方が心理テストの如く自身の愛についての考え方に依存するものでなかなかおもしろいように感じた。でも、だからこそこの映画はカップルなどでは観てはいけないと思う。ひとたび火がつけば、このふたりのように互いの闇をみて、多くの場合破局を導く気がしているからだ。

※原作未読なので完全な憶測だが、原作は恐らくもっと後味の悪いエンディングなのであろう。タイトルは“brainwashed”であるし、ラストの1シークエンスさえなければハックマンが文字通り洗脳された?とも思えるエンディングである。そこは監督がオリジナリティをつけたかったのか、あのエンエィングの挿入となったわけであろう。監督の経歴や作品をみるに、実は単純にハッピーエンドにしたかっただけなのかもしれないけど。

実際の事件のレポを読む限りは、忠実に事件を再現しながらも、大分マイルドになっているようだ。

それでもその淡々としたドキュメンタリー調に進む物語は独特の緊張感を保ち、その異常な事件の空気を見事に再現している。

事件被害者と犯人のシーンを交互にテンポよく繋ぐ構成も見事。当事者たちは至極シリアスに物事に取り合っているが、当事者以外にはひどく滑稽に見える。コメディならばこの落差に笑が生じるのであるが、この作品は実話が下敷きにあるので、笑うに笑えず非常に不気味な印象を作り上げる。

いわゆるミルグラム実験が再現された形となった事件であるが、人の心理とはかくも不思議なものだなあと実感させられる。もしかしたら、この事件もDIY精神が根強く、言葉より行動に重きをおく国の人々だからこの程度で収まりをみせたのかもしれない。いや、この程度って実に酷い程度なのだけども。
しかし、わが国であるならば、お得意の隠蔽体質でもって事態はさらに悪化し、事件は闇の中、被害者は泣き寝入りとなりそうである。

いずれにしても大変興味深い作品で、気になったら見てほしい1作。

最近観た映画

2014年1月16日 映画
星つけたのはオススメ。
そのうち個々のレポあげる。

一応すべてDVDレンタルできる作品なので、気になったらみてみてね。
『ディナーラッシュ』『カット!』はやや古い作品。小さいお店には置いてないかも。

『コレクター』
★『コンプライアンス 服従の心理』
★★『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』
『トゥ・ザ・ワンダー』
『フランケンシュタイン・リポート』
『ムービー43』
★『カット!』
『シャドー・ダンサー』
『キリング・フィールド』
★★★『ディナー・ラッシュ』

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