少年がたまたま廃屋の近くの穴でみつけたもの。
それはその村にはいない白人で金髪碧眼の男の子。しかも、鎖につながれていた。
はたして、何のために?


その秘密を他にばらさないように、少年は穴のなかの少年と話してさぐっていく。そしたら自分の家族や、村の秘密も一緒にあばかれてしまい・・・っていうちょっと変わったストーリーで飽きさせない。

子供が大人の秘密をしった時のドキドキ感が伝わってくるのがとてもいい。そして、真実を知ってしまっても純粋にそれに立ち向かっていくっていう姿に心打たれる。主人公は冒頭の1エピソードにみるように、他人が傷つくくらいなら自分が代わりになるというような正義感を携えている、子供ながらに純真で、妹思いだ。そして何より時々しか帰ってこない父親を愛している。そしてその父親の正体を知っても、彼は責めることはしないのだ。そのおかげで勧善懲悪劇の紋切り型にはまらず、興味深いものとなっている。

まるで周りの大人に強制され、どうにもできないでいる父親を守ろうとしているかのようでもある。個人的感情や愛着は時として、倫理観や合理性を圧倒する。だからこそ、人間はみな葛藤する。誰もが常に矛盾もなく、正しい(正しいと外側から評価される)行動をとることはできない。そんな難しさやもどかしさを上手く表現している作品だ。

でもだからこそ、あのラストは父子どちらにもつらいラストである。どちらも憎みあっていたのなら話は簡単だが、お互いがお互いを思う気持ちはあったからこその最後。人が許しても、神は許さない。等しく罪と罰はあるのだってことなのだろうか。

主人公の一人称的に語られる物語なのだが、どうやら原作小説があり、それが一人称のようだ。そのおかげで彼がみている世界を我々も見、そして聞いているものを聞くことができる。だからこそ、こちらに伝わるものがあるのだろう。そんな点もよかった点だったと思う。

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