今年は、はじめとばしてたけど、最近はあんまりなんで結局累計120越えたあたり。

■『ライフ・オブ・パイ』8.5/10
何故映画館で観なかったのか悔やまれる。
表向きは、トラと共に少年が漂流する話。しかし、その実は『トラ無き』映画だ。
単純に、パイが語る冒険譚としてみても、無数に登場する動物たちとのふれあい、そしてパイの成長譚にサバイバルと見所はたくさんある。変わり者パイの人生はそれだけで魅力的だ。
そして、彼の人生を変えてしまった漂流物語は、単にサバイバルだけでの話ではない。それは、彼の宗教観や価値観を固めた信仰の旅のようなものである。形而上の話なのである。3つの宗教の間であがき、迷う彼。海上でどうにもならない嵐の中で神の不在を問う彼。それはさながらヨブのようではないか。
この地味な内面の物語をかくも、豊かに作り上げたものだ。そして、そこには血なまぐささや後ろめたさなど微塵も感じさせず、むしろどこか爽やかな感動すら湧き上がるように描いている。アン・リー監督偉大なり。

ウィリアム・ブレイクが神の意図の偉大さや、一度は滅びた生命の肯定として描いた『虎』。ベスターの小説タイトルの引用元である。
虎よ、虎よ、ではじまるこの詩にあるかのごとく、パイは自身の存在を肯定し、今を生きるのである。その力強い姿を誰も否定できない。

彼は日記のようなものを書いている。それを失ってしまう瞬間に発するセリフに注意すると鑑賞後にモヤモヤしないのではないかと思う。


■『レッド・ライト』7/.5/10
結構好みの1作である。世の中にごまんといる、自称“超能力”持ちの真実を科学的見地から暴こうとする人々の姿を描く。

どんでん返し映画はともすると、完成度が高くとも、なんとなくその最後が読めた、または期待していたものと違ったというだけで評価を下げてしまう難しい1品だ。

この映画はそれをさけるために、一つは観ていけば誰もが気付けるような一段目のオチ。そして、もうひとつの隠された2段目のオチ。この飛天美剣流で我々を倒しにかかる。

そして、この2つめを受け入れられるかどうかでこの映画の評価が真っ二つに別れる。しかし、多くの人は多かれ、少なかれ、かような体験を見知っているに違いない。そして、どこかそれを望んでいるともいえる。それを考えるとこのオチの付け方はかなり巧い。

無意識に自身の認識の一部が現れる。それは口から、その行動から。無意識かにこそ、真実が現れるとはいうが、この映画がまさにそのようにしてストーリーを象って行く。
そしてまた、主人公たちの視点を通じてと築き上げていった価値観が一気に瓦解するそのラストはヴィジュアル面もそうだが、ある種カタルシスを感じさせてくれる。

役者陣の演技も素晴らしい、ことキリアン・マーフィの超然的な雰囲気も作品に最高にマッチしている。

■『タワー』6/10
『タワー・ブロック』と設定似てるよとか思って、はじめ同じやつ見てるかと思ったが、そんなこたあなかった。
適度に緊張感あるし、サスペンスの雰囲気も楽しめるんだけども、最後がなあ・・・。微妙に拷問シーンもあるんだけど、それも中途半端なんだ。総じて脇があまい出来といわざるを得ない。軽く楽しむには悪くない作品。

■『シージャック』6.5/10
タイトルの通り、船が海賊にジャックされて交渉スタート。
陸と海で発生するドラマを両面描く。

ネタ的にもそう多い部類じゃないし、なかなかに新鮮。けど、新鮮さって速さにも直結するんですよ。いかんせんテンポがよろしくない。重厚なドラマとして描きたいのか、ハラハラドキドキなサスペンス展開を描きたいのかどっちつかず。もし、両方を描くならば、前半をサバイバル的な面描いて、後半で交渉の難しさを描けばよかった。

本作には、交渉での大きな事件がない。それが根本的に悪いかな。
いろんな人間の思惑がもっとぶつかり合うようになる事件が起こらないと。ただただ海上の人間が疲弊していくだけだから緊張感が足りなかったと思う。

結構傑作になれた可能性があった作品だけに惜しい。描き方自体は丁寧だし、ヨーロッパ映画界に影響がある“ドグマ95”的な作風も理解できる。それならば、カットバックをもうちょい多めにいれてほしかった。


■『恋愛写真』4/10
広末かわいいってだけの映画なんだとは思うし、映像も綺麗。また挿入される写真も美しい。ストーリーも大きな破綻はない、或る時点までは・・・・。
演技というものの大切さを改めて知ることとなった。何故あの人は起用されたのか?最高に疑問である。
また、松田氏が喋る気持ち悪いルー大柴風英語の必要性も・・・。

■『IM Flash』5/10
藤原竜也はなぜいつも怯え、震えているのか?
誰に恋焦がれているのか、その謎は本作でも解けなかった。
皮肉な物語ではあるのだが、登場人物からはそんなことに対する
悲痛な叫びが聞こえない感じがしてしまうのが、いけなかった。
割と短めにまとまっちゃってる分、感情移入しにくいというか、人物像がちゃんと出来上がってない感じがしてしまう。
にしても、白いスーツが似合うとは恐るべきイケメンである。ギャスパー・ウリエルほどではないにしろ。



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