5点~は見る価値あり。
■ミッシング:7点
丁寧なストーリーテリングと常に漂う不気味な雰囲気でリードしてくれる。
問題は物語、中盤~終盤にかけて明かされるオチ的なものだ。通常、このオチは
あまり許容したくない。けれども、この作品の中ではこの部分がすべてではないし。
むしろその後のフォローの仕方が重要だ。そしてまた、多くの似たオチを持った
作品とは違い、前述の場面の説明も入る。
ヨーロッパではかなり評価が高く、人気作だったようだが、ここ日本では悲しいかな
ビデオスルー。結構良質のサスペンスだと思うので、ジャンル的に好きなら一見の
価値あり。
■地球、最後の男:6点
雰囲気作りといい、ストーリーといい見所は満載だ。
しかし、いかんせん説明不足というかなんというか。物語前半は説明を極力排して
いいとは思うのだが、後半をもうちょい丁寧に描いてほしかったかなという印象。
もし、同じつくりでいくなら、もうちょい展開を早くしてほしかった。
睡魔になんど襲われたことか。
後半のオチを説明するくだりにおけるたたみかけるような展開は素敵だ。
しかし、あれはわかりにくいって思う人もいるんじゃないかな。
何はともあれ、監督の才気は感じる1作。次回に期待。
■恋のロンドン狂騒曲:6.5点
前作『ミッドナイト・イン・パリ』があまりによかったため、過度な期待をしてしまった
かもしれない。もつれにもつれる恋愛模様を、アレン特有の若干説教じみた展開で
描く。そこらへんに転がっている恋愛ものとは異なり、かなり現実的な着地を
見せる。けれども、単純にうまくまとまってないだけのようにも見える。
前作のような軽妙な足取りの軽さがもうちょっと加わってくれれば、なお良かったかな。
■逃走者:5点
定番のロング・プレイス、ロング・タイムものならぬ、ロング・カー、ロング・タイムもの。
異常にコンパクトなまとまりをみせ、80分しかないので飽きるわけもないが、
しかし、取り立てて見所があるわけでもない。
まあ気軽に見られるいいサスペンス・アクションかなと。
■復讐走査線:5点
メル・ギブソンで復讐ものっていったら『ペイバック』なんだ。
これはその劣化版にすぎん。ちょっとくどいのがよろしくないね。
あとは、あれだよ市街戦やってくれなきゃ。並みの出来である。
■恋の門:3.5点
・・・・・・長い。あと30分切ってくれ。
■クロッシング・デイ:5.5点
こういうダメ男が家族のために更生していく系も食傷気味。
最近はベンさんが撮った『ザ・タウン』もあったし、割と名作を多くうむジャンル
の中ではかなりがんばらないといけないのだ。及第点はあると思うし、役者陣の
演技もよいと思う。イーサン・ホークはナルシストだけど、その点演技はなかなかすばらしい。
■トト・ザ・ヒーロー:9点
幼き頃、赤ちゃんの取り違えにより起きる悲劇を描く。
この監督は『ミスター・ノーバディ』というすばらしいSFドラマを最近撮っていたのだが、
過去作をみたことがなかったので鑑賞。
20年以上も前の作品ながら、古臭さを感じさせない。そして、巧みなストーリーテリング
とジュブナイルものが持つような新鮮な空気の融合。カットバックの巧みな差込
と繊細な演出。基本的には悲劇でありながらも、積極的に人間の明るい側面を
交えながら、人間賛歌へと変化させている。文句なしの名作である。
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