この映画ははじめ予告編を観る限りでは、よくライオンズゲートが手掛けているような、物語前半はティーンの乱痴気騒ぎ。そして、テンション一転しての恐怖劇満載の後半。ってなセオリーどおりの映画だった。

けれどもふたを開ければビックリ。『トイ・ストーリー』をホラーでやったかのような業界事情おっぴろげの痛快風刺コメディだった・・・・・。

プロットはこうだ。

仲の良いティーンたち(イケメン、美女、それに準ずるなかなかいけてるカップル、ギークというよくある構成)がバケーションを利用して、辺鄙な森の中のコテージで楽しむ。しかし、そのコテージは実は・・・。

こんな、『死霊のはらわた』さながらのプロットだ。

何を今更と誰もが思うはず。さらに観客をがっかりさせるかのように、物語前半で突如彼らを監視し、行動をコントロールする謎の組織の存在が明らかになる。

ここから物語りは徐々にリアリティを失い、どんどんファンタジックかつ筋道もへったくれもないホラー劇が展開される。
もうこの辺で落胆しっぱなしである、うげー、クソB級だわーってな感じで。
しかしさらに、物語は進み、謎の組織に命令いや脅しをかけているものがいることが判明。

この辺で、ピンとくるのだ。だから、この映画はこうもめちゃくちゃなのかと。ホラー映画だと思っていたが最後、騙されるとはそういうことだったのかと。(チラシ裏には映画ファンほど騙されるとの表記があった。)

つまるところ、本作における構図が以下のようなものであることが判明する。(様々なサイトを見る限り、まるっきりそのままファンタジックなホラーだと思ってみている人もいたが・・・・・)。

・ティーンたち→映画の中の登場人物。
・謎の組織→映画の製作陣。
・組織よりも上位の存在→観客やプロデューサーのような人々

でも、実は一番重要な役だったのは、途中ティーンに必要以上に絡むおっさんだったのかもしれない。

彼は主人公たちに無駄に絡むだけでなく、組織に対しても敵対的で、やたらに上から目線というかなんというかめんどくさい存在だ。

そう、彼こそは、映画の細かなどうでもいい設定にも必要以上に噛み付き、はては製作陣をこき下ろすような、双方にとって癌にしかならない信者的な存在のあらわれだ。

そして、上のような構造が見えるととたんにむちゃくちゃな物語だった映画が理路整然だって見える。
つまり、物語がむちゃくちゃなのは映画の様々なところに観客がつっこみすぎて、万人を納得させようと製作陣が多くの要素をいれすぎたからだ。
加えて、殺人の方法をどんどん過激にしないと満足しない観客のために、工夫をしはじめたら、もう収集がつかなくなった。
結果、みんなどんなにがんばってもうまくいかず共倒れになるよっていうホラー映画業界の憂国の情が描かれているわけだ。(最後を見る限り、暗に観客やプロデューサー側の責任を追及しようとしている製作陣のリベンジ映画にも見えるかな!? いつも俺らばかりが攻められてるんだぞ、本当はこういうことなんだからなって)

こうやってみるとなかなかどうしてエポックメイキングで愉快な作品だったと思う。

観終わったときはあまり満足感を得られなかった作品なのだが、思い返してみると非常に興味深い作品に違いなく、作り手の愛情を感じられる奇作であった。必見の一作といえる。

コメント

nophoto
Sarah
2014年4月1日21:39

Yeah that’s what I’m talking about bacb--niye work!

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