タイトルはちょっと大げさなのだが、歴代で制作された映画の本数が20本にも満たないというのは、映画という娯楽産業が成り立ってないという点であながち間違いでもないかなと思う。
その国はパラグアイ。

パラグアイは、経済的にみると貧富の差が激しく、また技術的にも先進国とはお世辞にもいえない。しかし、その貧困の中でも市場には常に最新の技術を有した電子機器が並ぶ不恰好さを表出しているらしい。本作の主人公少年は、TVに出演したいと夢見て、録画機能つきの最新携帯をほしがっている。だから時代設定をカメラ付携帯が普及しだした2005年に設定したとのこと。

また、昨今の映画は中国圏からの出資が多いことから、中国人キャストがでるのは多くあるのだが、珍しく韓国人が出ている。監督曰く、パラグアイには韓国人の移民が多いらしい。そして、時々韓国語で話すところに字幕がないのは、監督の体験からの引用らしい。いわく、彼らの口論や議論がヒートアップすると、韓国語になるため何を話しているかわからなかったかららしい。

そんなに大きく物語りに関わる設定ではないにしろ、こういう細かなリアリティが物語に息を吹き込む。

そんな本作の内容はというと、荷物運搬業を営む主人公少年が、最新の携帯電話ほしいがために安請け合いしてしまった荷物の運搬の途中で思わぬトラブルに巻き込まれていく様を活写する。

ローカルギャングに、商売敵、スリや警察に追われながら迷路のような市場を疾走していく少年。その道中に小さなロマンスを交え、様々な人間の思惑と知られざる過去や事情を暴きながら物語りはあっという間にラスト。

先述した社会事情などを垣間見るエピソードや描写などもあり、ストレートな物語ながらになかなかの情報量。
雑多極まる市場を失踪するぶれぶれのカメラは、緊張感と臨場感を見事に演出した。

ハリウッドで作ったらなんとなく、ブラックコメディのようなお話でも、舞台を変えてつくるとこうも真剣な作品になるのかとなかなか興味深い。

インディっぽい映画ながら、かなりパワフルで無駄のないつくりに感心。こういう映画をかける映画館がほしいなあと思うが、なかなか難しいんだろうな、今の映画館事情だと。

レンタル新作か準新作に並んでいるはずなので、要チェックの1作。

これにて今年の250本目鑑賞終了。

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