『コンプライアンス』
2014年1月30日 映画実際の事件のレポを読む限りは、忠実に事件を再現しながらも、大分マイルドになっているようだ。
それでもその淡々としたドキュメンタリー調に進む物語は独特の緊張感を保ち、その異常な事件の空気を見事に再現している。
事件被害者と犯人のシーンを交互にテンポよく繋ぐ構成も見事。当事者たちは至極シリアスに物事に取り合っているが、当事者以外にはひどく滑稽に見える。コメディならばこの落差に笑が生じるのであるが、この作品は実話が下敷きにあるので、笑うに笑えず非常に不気味な印象を作り上げる。
いわゆるミルグラム実験が再現された形となった事件であるが、人の心理とはかくも不思議なものだなあと実感させられる。もしかしたら、この事件もDIY精神が根強く、言葉より行動に重きをおく国の人々だからこの程度で収まりをみせたのかもしれない。いや、この程度って実に酷い程度なのだけども。
しかし、わが国であるならば、お得意の隠蔽体質でもって事態はさらに悪化し、事件は闇の中、被害者は泣き寝入りとなりそうである。
いずれにしても大変興味深い作品で、気になったら見てほしい1作。
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