『サイド・エフェクト』7/10

ソダーバーグはこれで引退とかなんとかのたまわっていたが、誰かと同じく、言いたいだけだった模様。ソダーバーグの作品を観たかった人にはマイナス点が目立つ作品な気がする。しかし、なんてことはないサスペンス映画としてみれば良作。

前半はソダーバーグっぽい、現代社会の問題点を切り取って観察する感じなのだが、どこからかそのテイストは薄れ、デ・パルマ映画かよってなサスペンス劇へと変貌していく。やや大味で、なんだかもう一ひねり欲しいなあと思ったのも確かなのだが、コンパクトにまとまっていたかなあとも思う。
彼の映画は、人にフォーカスをあてるものではないので当然なのだが、誰にも感情移入できぬつくりなのに、感情のもつれが事件の主軸に絡んでしまうのはいかがかなものか。あと、どうしても前半のテイスト、ベクトルの物語の方が観たかったなあと思ってしまう。

『スティーラーズ』
ウェイン・クラマー監督の前作『ワイルド・バレット』が非常に好みだった
のだが、どうやら一発やに終わった模様。『正義の行方~』?そんな作品知らない。

テイストとしては、前作に変わらず群像劇というか、たくさんの人物のごたごたが徐々に収斂していく様を描く。
これに関しては、お得意の構成だろうし悪くないのだが、あまりにテンポが悪い。同じ時系列のまま、しかもカットバックもろくにつかわずダラダラと描写するだけ。お間抜けキャラクターの創造もことごとく失敗しているとしか思えない。日本では劇場スルーに近い扱いだったのがうなずける出来だった。

『ビザンチウム』4/10

最近あんまりめぼしい作品ないなと思っていた、というか『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』と『クライング・ゲーム』以外に撮ってたっけ?ってくらい影薄い監督の新作。

『インタビュー~』以来の吸血鬼ものなのだが、如何せんこのテーマはもうちょっとやそっとのことじゃ喜ばれないんじゃ……って思っていたら、まあ案の定という感じでしたね。

吸血鬼というものはさ、もうちょっと神秘的に描かれないといかんと思う。人智を超えたものとしての存在感や、定命でないもの故の悲哀もそれがないと真実味がない。本作でいえば、よっぽど病弱少年君の方が神秘的なんだよなあ。
過去の描写は多いのに、作品の中の重要なギミックとして働いてなかった気もする。この過去描写はもっと固めて語ったほうが活きたんじゃないかな。
それかもっと登場人物の数を絞ってもよかった気がする。どの人物関係が主軸なのか、見えづらかったし、そのせいで物語が弱く感じた。

『マニアック』5.5/10

イライジャ・ウッドがシリアル・キラーに!!ってのは制作側からしてみれば、意外な人選だったのかもしれない。しかし、最近こういう見た目に反して系の変態がおおいせいか、逆に驚きがなさすぎるw顔立ちは良く見たら美形なんだと思うけど、あの独特な双眸はともすれば不気味でリトルグレイみたいだもの。だから、その点でのメタ演出はあまりうまくはいってなかったように思える。けど、『指輪物語~』の後に観たら、びっくらこくだろうね。
物語は、リメイクだからちょっと古臭いし、特にツイストがある作品ではない。
しかも、時が経つにつれ古いと感じるようになってしまう部類のネタなのは監督もよく知っていたのだろう。

徹底的に観客を主人公の側に引き込むように、ほとんどの場面でPOV視点となる。これは『ハロウィン』でカーペンターがやったのが有名な手法だけども、こうなるだけでなかなかどうして冗長な物語も斬新に見えるようになるもんだ。でも、そこくらいかなあとも思う。

ってことで、今年はあまりあたりに出会ってないぞ。ピンチ。

コメント

本田J
2014年3月12日7:36

Nobody’s foolは見ました?
私はかなり好きな話です

tyler
2014年3月12日9:56

>本田さん
コメントどうもです。
ノーバディーズ・フールというと、ベントン監督、P・ニューマンの作品でしょうかね。それならば昔鑑賞しましたが、私も好きですよ。もし、何か新作であるとすれば未見なので借りてみますね。

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