■『スパイ・バウンド』7.5/10
昨日、特にいうほどの良作がなかったといったが、本作は良かったかも。
ただ本作は私が見るのを大分見逃していた旧作も旧作なのである。もう10年くらい昔の作品なはず。
残念ながら離婚してしまった、ヴァンサン・カッセル&モニカ・ベルッチ夫妻の共演作である。劇中で演じるはスパイの仮面夫婦。共演作が多すぎると思うのだが、よほど仲良し夫婦だったのだろう。
さて、本編なのだが久しぶりにスパイ映画を観た、という感じに浸れる作品である。それは決して、本作が史実と当事者の証言を元に作られた作品だからというだけではないのだろう。
冒頭の只ならぬ緊迫感をはらんだ追走劇は、セリフなしで我々を劇中に引きずり込む。そして、静かに幕を開ける本編も、説明的なナレーションなどさしはさむ暇もなく、淡々と展開していく。セリフを排除されたことで物語をおうために集中を強いられるが、ジャン=ピエール・ソヴェールの撮影は中々に見事で飽きさせない。派手なアクションや爽快な展開を期待してみた人にはやや退屈な話になるかもしれないのだが、そこはテイストの違いだ、仕方がない。エージェントの装備も実践的であり、素晴らしくソリッドな作風の1作である。硬派なスパイ映画を観たい方は是非。
残念なのは、ほとんどの映画でそうであるようにモニカ・ベルッチの艶やかなる魅力を見出せるシーンがほぼないことか笑
■『スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間』6.5/10
ゾンビ映画は、ある程度やりつくされたジャンルだが、それでも一年に1本くらいは新鮮さを感じる作品が出てくる。それだけ皆に愛されるジャンルなのだろう。昨今では『ウォーム・ボディーズ』というほのぼの作品があったが、私は本作を推させていただこう。
本作は、ゾンビに襲われる人々を描くでもなく、ゾンビ側の視点を描くのとも違う。そしてまた、ゾンビをキュアーするという方向性も持たない。主人公が時間経過と共にゾンビ化していき生活様式が変容していくのを観察する作品なのだ。1日目、肌の色が可笑しい。2日目、目が充血している。そんな感じである。
しかも、主人公が女性であり、彼氏ではなく、彼女がいるというのも新しい。ゾンビ化するし、彼女には振られそう?振られた?しもういっぱいいっぱいという主人公の心理状況は、ゾンビに襲われる恐怖なんかよりとてもリアルに感じる。
しかし、観察という以上、特に大きなドラマや事件がないので殊更大きな満足感や充足感がないのも確か。コンパクトにまとまっているので観て損はないのだが、もう一ひねりあれば文句なしの名作入りになったのではないかと思うとちょっと残念。でも監督の才能を感じさせられたし、主演の女優さんは美人でよかった。
コメント
大体が雑なレビューですが、よろしくです。気軽にコメントしてください